2019/01/31

ゼロ・アワー



殺し屋のコードネームがシェイクスピアの登場人物で、いやいやいやいや〜、と、半笑いになりつつも読み始めたら引き込まれて一気に読んでしまいました。

没入感、まさにそんな感じで。

ヒロインの祖父と殺し屋の奇妙なシンクロ、猫の存在など、おさまりがよくて最後までスッキリ読めました。

2019/01/14

花酔ひ



うわあ、これはよくできている、と、思ったのは、初出を見たときです。
二人の女性、というか、二組の夫婦の話を書いてあるんですが、それぞれ掲載誌が違うのです。

呉服屋の一人娘、麻子の話は『嗜み』に、葬儀屋の妻、千桜の話は「オール讀物」にそれぞれ掲載されていて、麻子の話だけ読んでいるとシャレオツな奥様が恋に迷う話にすぎず、なんともしゃらくさいんですが、ここに千桜の話と交互に展開させる事でひどく麻子の姿が滑稽に見えてくる。

麻子一人がウブで、そんな麻子に中学生のような恋をしている桐谷。

皆が自分の望むものに向き合えているのに、麻子だけがどこかずれているというか、自分の事を一番に愛していて、誰の事も愛してはいないのでは無いかと思え、それが惨めで、残酷で、滑稽に見えるのです。自己陶酔ぶりが痛々しくて本人が気づいていないという事を、こんな形で表現できるのはすごいなあ……。

2019/01/01

水曜日の凱歌



親族の年始集まりに参加する為、日帰りしてきました。電車移動は読書がはかどりますね。

玉音放送があったのが水曜日、そこから物語が始まり、多分〆も水曜日なんだろうな、と、読み進めていって、ああ、なるほど。と。

特殊慰安施設協会を知ったきっかけは、京極夏彦の『絡新婦の理』でしたが、今回は十四歳の少女の視点からわかりやすく描かれておりました。


ソ連兵の「性接待」を命じられた乙女たちの、70年後の告白(平井 美帆)

敗戦とともに崩壊した「満州国」では、地獄絵図としか表現しようのないほど、飢えと暴力、そして絶望が蔓延した。孤立無援の満洲開拓団は次々と、集団自決に追い込まれていった。 そのとき、ある開拓団の男たちは、ひとつの決断を下した。現地の暴民による襲撃、ソ連兵による強姦や略奪から集団を守り、食料を分け与えてもらう代わりに、ソ連軍将校らに結婚前の乙女たちを「性接待役」として差し出したのだ。 ...
以前読んだこの記事を思い出しました。
戦争という特殊な心理状況にある男性の凶暴性が女性に対して嗜虐的に働く事は、それはそれで脳科学的な分析が必要なところであるとは思うのですが、本当にこれはひどい話です。

理性と凶暴性のバランスが崩れる事の恐ろしさ、悲しい事ですが、それが起こりえてしまったという事から、何を学び、次代にどうすべきか、考えなくてはならんと思いました。