2019/01/14

花酔ひ



うわあ、これはよくできている、と、思ったのは、初出を見たときです。
二人の女性、というか、二組の夫婦の話を書いてあるんですが、それぞれ掲載誌が違うのです。

呉服屋の一人娘、麻子の話は『嗜み』に、葬儀屋の妻、千桜の話は「オール讀物」にそれぞれ掲載されていて、麻子の話だけ読んでいるとシャレオツな奥様が恋に迷う話にすぎず、なんともしゃらくさいんですが、ここに千桜の話と交互に展開させる事でひどく麻子の姿が滑稽に見えてくる。

麻子一人がウブで、そんな麻子に中学生のような恋をしている桐谷。

皆が自分の望むものに向き合えているのに、麻子だけがどこかずれているというか、自分の事を一番に愛していて、誰の事も愛してはいないのでは無いかと思え、それが惨めで、残酷で、滑稽に見えるのです。自己陶酔ぶりが痛々しくて本人が気づいていないという事を、こんな形で表現できるのはすごいなあ……。

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